新型コロナウイルス感染症の検査について

新型コロナウイルスに今、かかっているかをみるための検査には、下記の検査が一般的に実施されています。いずれの検査でも病原体が検出された場合、検体採取時点における感染が確定されます。ただし、ウイルス量が少ない例では検出限界以下(陰性)となることや、同一被検者でも経時的に排出ウイルス量が変化するため、適切なタイミングでの採取が求められます。

・核酸検出検査(RT-PCR、LAMP法、TRC法、TMA法 など)は
ウイルス遺伝子を増やして検出する方法で、一般的に 『PCR検査』 と呼ばれています。外部の検査機関に依頼して場合は、結果が出るまでには2日ほどかかります。
・抗原検査は
ウイルスのタンパク質を検出する方法で、抗原定性検査(有無をしらべる)と抗原定量検査(量をしらべる)があります。抗原定性検査は、いわゆるインフルエンザの簡易検査の際と同じ方法を行います。10分程度ですぐ結果が出る簡易検査ですが、ウイルス量が非常に多くないと検査が陰性になることがあります。

現時点では、新型コロナウイルスの検出に最も信頼性の高い検査はRT-PCR 検査です。次いで他の核酸検出検査、抗原定量検査も実用的な検査法であり、さらに有症状者に対しては抗原定性検査も確定診断として活用可能な状況となっています。
当クリニックでは原則、担当医師が検査必要と判断した、有症状者に対してのみ、抗原定性検査をおこなっております。

検体の種類と採取について

鼻咽頭ぬぐい液

新型コロナウイルスは上気道から感染するため、感染初期には鼻咽頭ぬぐい液は最も標準的で信頼性の高い検体です。滅菌ぬぐい棒を鼻腔孔から耳孔を結ぶ線にほぼ平行に鼻腔底に沿ってゆっくり挿入し、抵抗を感じたところで止め(成人10 cm程度)、10秒程度そのままの位置で保ち鼻汁を浸透させ、ゆっくり回転させながら引き抜き、ぬぐい液を採取します。自己採取ができず、医療者による採取が必要であり、飛沫に曝露するリスクが高いため、感染予防策を徹底した上での実施が前提となり、また適切な部位から採取する必要があります。

鼻腔ぬぐい液

検体採取時には、鼻孔から2cm 程度スワブを顔の中心に向かって挿入し、スワブを鼻腔壁に軽く当てゆっくり回転させます。採取に際しては、粘膜面に触れて採取することが重要です。医療従事者の管理下で被検者自身が検体を採取することが可能であり、医療従事者への曝露するリスクを低下させることができます。検出感度は鼻咽頭ぬぐい液と比較するとやや低いとの報告があり、引き続き検討が必要であるものの、実用性と医療者の感染予防の面から有用な検体です。

唾 液

被検者自身による適切な採取を医療従事者が確認することが原則です。飛沫を発しにくいため、周囲への感染拡散のリスクが低い検体と考えられます。検出感度は鼻咽頭ぬぐい液と同程度と考えられ、採取手技に 左右されない利点もあり、実用的な検体です。飲食等の後、歯磨きを行った後、最低10分以上後に採取する必要があります。

状況に応じた適切な検査実施について

・新型コロナウイルス感染を疑う有症状者
新型コロナウイルス感染が疑わしい有症状者(症状が新型コロナウイルス感染に特徴的、または濃厚接触者が有症状となった場合など医師が疑う場合)については、下記の表・図 を参照した検査を行います。
留意点として、抗原定性検査:鼻咽頭・鼻腔検体では、発症から10日目以降で陰性の場合には、臨床像から必要に応じて核酸検出検査や抗原定量検査を行うことが推奨されます。唾液検体の場合、発症から10日目以降は検出性能が低いとされます。よって、当クリニックはでは原則、担当医師が検査必要と判断した、有症状者(症状出現9日目以内)に対してのみ、抗原定性検査をおこなっております。

・濃厚接触者
抗原定性検査は、無症状者の濃厚接触者への検査は適しません。また、患者からの曝露日が特定できる場合には、曝露日から1〜2日間は感染していても偽陰性となる場合が多いことを踏まえ、検体採取のタイミングを考慮して検査を実施する必要があります。
→濃厚接触者とは

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第5.1版)より

※3:唾液検体での薬事承認を得た製品に適用される点に留意。
※4:使用可能だが、陰性の場合は臨床像から必要に応じて核酸検出検査や抗原定量検査を行うことが推奨される。(△)
※5:推奨されない。(−)
※6:確定診断としての使用は推奨されないが、感染拡大地域の医療機関や高齢者施設等において幅広く検査を実施する際にスクリーニングに使用することは可能。ただし、結果が陰性の場合でも感染予防策を継続すること、また、結果が陽性の場合であって医師が必要と認めれば核酸検出検査や抗原定量検査により確認すること。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第7.2版)より 一部改変

抗原定性検査は有症状者(発症から9日以内)の確定診断として用いることができます。 新規薬剤の導入に伴い、重症化リスク因子をもつ患者等での早期診断の重要性が増して います。抗原定性検査は簡便・迅速なポイントオブケア・デバイスとして使用可能であり、積極的な活用を考慮することがすすめられています。

検査結果について

新型コロナを疑う症状のある場合には、抗原定性簡易キット検査が陰性、またそれよりもやや感度が高いPCR検査の結果が陰性でも感染は完全には否定できません。検査結果が陰性の場合も感染予防策を継続する必要があります。

インフルエンザ等の他疾患との鑑別が必要な場合

インフルエンザ流行期には可及的に季節性インフルエンザと COVID-19 の両方の検査を行うことを推奨されています。

お問い合わせ先について

厚生労働省のお問合わせ先(2024年9月末まで)

現在、厚生労働省に電話相談窓口が設置されています。

・厚生労働省 電話相談窓口 0120-565-653(フリーダイヤル)
 受付時間:9時から21時まで(土曜、日曜、祝日も対応 外国語対応あり)

関連リンク

新型コロナウイルス感染症情報(大津市)
新型コロナウイルス感染症(滋賀県民の方へ)
新型コロナウイルス感染症について(厚生労働省)
新型コロナウイルス感染症対策(内閣官房)
新型コロナウイルス感染症に備えて(首相官邸)

濃厚接触者とは

濃厚接触者とは「患者(確定例)」の感染可能期間に接触した者のうち、次の範囲に該当する者である。
・ 患者さんと同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内等を含む)があった方
・ 手で触れることの出来る距離(目安として1メートル)で、必要な感染予防策なしで、「患者」と15分以上の接触があった方(周辺の環境や接触の状況などから患者さんの感染性を総合的に判断)
・ 適切な感染防護無しに患者を診察、看護若しくは介護していた方
・ 患者の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い方
(国立感染症研究所「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」より)

夜間・休日や、相談する医療機関に迷う場合、新型コロナウイルス患者と接触があった場合 は、「受診・相談センター」にご相談ください。
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関連リンク

新型コロナウイルス感染症について(厚生労働省)
新型コロナウイルス感染症対策(内閣官房)
新型コロナウイルス感染症に備えて(首相官邸)